
山を歩いていると、不思議と自分の身体の声がよく聞こえてきます。
最初のうちは景色ばかりに目がいきますが、しばらく登るうちに呼吸の音、足音、心臓の鼓動がリズムを刻みはじめ、
「ああ、今の自分はこうなんだな」と、自然と会話が始まるのです。
急な坂では太ももが熱を帯び、
ぬかるんだ道では足裏が地面を探り、
木の根をまたぐ時には背筋が伸びる。
どの動きも、身体が自然に応えてくれている証拠。
それに気づけるようになると、登山はただの運動ではなく、
自然と身体が対話する時間になります。
山の静けさは、心と身体の声を映す鏡のようです。
普段は忙しさの中で聞き逃してしまう“身体のつぶやき”が、
一歩ごとに小さく、でも確かに響いてきます。
この感覚は、日常にも持ち帰ることができます。
歩く時も、座る時も、身体の中に流れるリズムを感じてみる。
「今日は少し冷えてるな」「この動きは気持ちいいな」と、
小さな声に耳を傾けるだけで、身体は応えてくれます。
健康工房での足揉みや足圧も、
まさにそんな“身体との語り”の時間です。
足裏に触れながら、自分の中の自然を感じていく。
山を歩くように、ゆっくりと、身体と仲直りしていく。
身体と会話することは、自分と丁寧に向き合うこと。
その積み重ねが、健康という道を静かに照らしてくれるのだと思います。
成瀬充暁

